save the joint その1 ― 2025年08月14日
長時間の熱処理により、動きにクセのついたステン二連関節部品を検証してみました。
組になってる2枚のソケットプレートのうち、ねじ通しの穴があいたほうをAプレート、ねじ穴のあいたほうをBプレートといいます。ボール受けの穴はボールシートです。
A・Bを穿孔すると、加工によりボールシートの穴べりが「加工硬化」を起こします。硬さの関係が
ボールシート > ボール
となり、ボールシートがボールにキズをつけます。キズは動作障害を起こします。
加工硬化を除くには、加熱して「応力除去」をしなければなりません。加熱は
(1)長時間加熱する
(2)短時間加熱を繰り返す
からの2択です。(1)ではA・Bの膨張と収縮がおこります。収縮後の大きさがA=Bであればいいのですが、A≠Bとなると、AとBでボールシートの位置が変わります。組んで関節にしたとき、動きにクセがつきます。
(2)では有意な膨張・収縮を起こさずに、小規模な「応力除去」を累積させます。A・Bのボールシートの位置関係は変わらず、関節の動きにクセはつきません。
今回の検証は、(1)でNGとなり、溜めておいた部品が対象です。
検証結果を写真で示します。クセによりシャフトが傾く方向は、ほとんどがB側寄りになりました。2本のシャフトの傾き方は鏡像関係です。これは、ソケットプレートの大きさがA>Bのとき起きる動き方です。
ボールシートの形状は、Aが貫通穴、Bがメクラ穴です。どうやらAは、収縮後の大きさがBほどに戻らないようです。
つづく