加工硬化の話 その12024年02月29日

加工硬化 1

SUS440C球と、SUS304ソケットプレートを組んだステン関節 では、SUS440C球を鋼球の場合と同じ温度で焼きなますと、ソケットの穴べりがボールを傷つけて、動きが不連続になります。
これはソケットプレート穿孔時におこる加工硬化のせいです。加工硬化とは、加工のストレスで金属材料が硬化する現象です。ストレスのかかりかたは不規則です。加工のたび、異なる円周位置と硬度を、モザイク状に持つ穴べりができます。

図は左からAプレート、ボール、Bプレートです。各プレートはボールと接する面を上向きにしてます。Bプレート中心には通常はねじ穴がありますが、私はナットの半田づけでねじ穴をつくるので、Aと同じサイズの貫通穴となっています。
AB両プレートのソケット穴べりの、円周の一部が硬化しています(青でなくマゼンタになってます)。A・Bプレートは重ねて穿孔するので、硬化位置は鏡像になります。金太郎飴の切断面の金太郎の顔が、鏡像になるのと同じです。
プレート中心の貫通穴にも加工硬化があります。ここは関節の動きには影響しません。
穴べりのマゼンタ部分は、硬さの関係が

 ボール < ソケット

になります。ソケットがボールにキズをつけます。

つづく

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