加工硬化の話 その22024年03月01日

加工硬化 2

熱処理でボールの硬度をあげます。
(ボールの青を、穴べりの青やマゼンタより硬い赤にします)
全円周が

 ボール > ソケット

となります。これならキズつきはおこりません。
2020年以降に納品したステン関節はすべてこの仕様になっています。

つづく

加工硬化の話 その32024年03月04日

ボールのキズつきこそなくなりましたが、加工硬化の影響はまだ残っているようです。
出来上がる関節のなかに、ややクセのある動きをする関節ができます。
(『やや』であって、加工誤差といっても済ませられる程度のものです)

原因はおそらく、加工硬化部分でボールとのすべり具合(摩擦係数)が変わるためです。
その2 の図の下側のソケット穴では、穴べりの半円がマゼンタ(加工硬化あり)、残りの半円が青(加工効果なし)です。このような加工硬化部分の極端な偏りは、ボールとの動きにクセをつけます。
一方、上側のソケット穴では、マゼンタの弧と青の弧が、比較的細かく均等に散らばってます。滑り具合の違いがいい具合に分散され、クセをつけません。

穴べり上の加工硬化のつきかたは運任せです。見た目で確認できません。部品を組んで初めてわかります。

つづく

Armature by Tetsu2024年03月09日



Armature by Tetsu が、Marcのサーフィスゲージのレクチャー動画に使われてました。
(前にも書いた気がする)

しかし gage は gauge じゃないの。
…って、gauge は英語で gage は米語みたいです。aruminum = 英語、aruminium =米語 みたいなもの。

いもねじ固定ボール&シャフト その12024年03月10日

ステン二連関節(12クラス/15クラス)

過去記事の再構成です。

最近のステンボール&シャフトです。シャフトをボール内にいもねじで横止めし、半田や接着剤で固定強化してます。通常は9.525径以上に使われます。必要なら4.7625径まで可能です。

つづく

いもねじ固定ボール&シャフト その22024年03月11日

いもねじ穴とソケット穴

一見して疑問に思う方がいるでしょう。ボール表面に開いたいもねじ穴は、関節の動作障害にならないのか…?
いもねじ穴(緑)がソケットの穴べり(赤)と出会うと、ボール-ソケット間の接触部分が、いもねじの直径ぶん減ります。一瞬、関節の動きは軽くなるはずです。動きが不連続になるといいます。
はず…ですが、実行してみると検知できません。ねじ穴径をかなり大きくしても同様です。

※ねじ穴穿孔時のカエリがボール表面にわずかでも飛び出してると、動作障害は起きます。これは穿孔直後に縁にテーパーをつけておけば避けられます。

つづく

いもねじ固定ボール&シャフト その32024年03月12日

断面図

断面図です。

ボールにはシャフト穴と、それに直交したいもねじ穴(貫通穴)があいています。いもねじ穴の先端は、シャフト穴の対面までのび、メクラ穴になって終わっています。

シャフトの横方向にはいもねじ用のねじ穴があります。縦方向はスリットがあり、いもねじ用のねじ穴を横切ります。

ボールとシャフトはいもねじで固定します。いもねじはシャフトをシャフト穴の片面に押し付けつつ、先端がメクラ穴に入ることで、シャフトの軸回転をとめるピンにもなります。

ボール上端から半田や接着剤を注ぎます。半田・接着剤はスキマのすべてにもぐりこんで固定強化します。いもねじまで浸透して、いもねじの緩みを抑えます。

本方式の利点です。

・ロウづけの失敗率の高さを気にする必要がない
・ロウづけ時こびりつく、しつこい酸化物の洗浄・研摩が不要
・ロウづけのような不規則な凹凸がつかず、仕上がりがきれい
・ロウづけより制作時間が早い

…って、どれだけロウづけが嫌いなんだよ。ひとことでいえば

・ロウづけする必要がない

です。ほかに

・ロウづけ難・半田づけ不可のアルミ丸棒がシャフトに使えて軽量化できる
・シャフトの後交換が容易
・シャフトが仮固定できる。本固定まえに、シャフト長や可動角度の検討が可能

です。

つづく

いもねじ固定ボール&シャフト その42024年03月13日

半田づけによる固定強化

半田づけでは図のようにシャフトをやや傾けて、いもねじ穴の入口から半田が漏れるのをふせぎます。分解するときは、半田吸い取り線をうまくつかいます。

接着剤は、瞬間接着剤がお勧めです。アセトンに数時間つけるだけで分解できるから、運用がしやすいです。ただし、熱に弱いため、フォームラバーのガワをアーマチュア・イン・モールドで加熱するときには使えません。

ほかに、二液型のエポキシ系の接着剤も使えます。粘りがあるので注ぎこむのではなく、シャフトにべっちゃりつけてボールに入れ、いもねじ止めします。外に漏れたものはウェスで拭きとります。瞬着より熱に強いです。アーマチュア・イン・モールドもOKです。

【トップイメージ解説】2024年03月20日

トップイメージ

本家サイト http://www.modelanimation.com/ トップイメージ解説

今もサウジアラビアのどこかで使われてる(はずの)、目安棒の取説より。関節に負荷をかける持ち方はダメってことです。

某人体アーマチュア2024年03月30日

某有名サイトの、レディメイドの人体アーマチュアを入手しました。二連関節にクセがないなど部品の加工精度はよいものの、材料の組み合わせが最悪でした。黄銅ソケットでニッケルめっき球を挟むのは禁じ手です(それをいったら鋼球もステン球もです)。動きがスムースなのはねじを軽く締めたときだけ。ちょい締めすると動きが不連続になります。動きの悪さはAmazonで売ってる中国製の安物と変わりません。なら最初からあちらを買えばいい。

過去にレディメイドで感心したのは、セマフォルぐらいかなあ。もう売ってないようです。

サーフィスゲージ風目安棒2024年03月30日

サーフィスゲージ風目安棒

ありもの部品で組んだ、サーフィスゲージ風目安棒です。オモリがのったベースはカメラフレーム外に置きっぱにしておき、上部ロッドを傾けて目安します。シャッター時は上部ロッドをフレーム外によけます。通常の目安棒でおこなわれる、ベース移動の時間が節約できます。

上部ロッドの根元関節はリン青銅ヒンジです。ボール&ソケットのような横ブレがなく、この用途には最適です。微妙な動きができるよう、熱処理で動きをさらにスムースにしてます。