加工硬化の話 その5 ― 2024年06月03日
ガスバーナーによる加熱は作業としてはお手軽ですが、処理できるソケットプレートは1枚ずつです。関節1組につきソケットプレートは2枚。お手軽といいつつ、数をこなすのは面倒になってきます。もっと効率的にできないものでしょうか。
応力除去は固溶化処理温度の1050度まで上げなくてもOKとのこと。1000度以下で済むなら普通のデジタル電気炉でいけます。
電気炉で1000度x30分/1時間で処理してみました。なんとすべてがOKにはなりません。1時間処理では除去困難な焦げ付きが残るというオマケつきです。
ガスバーナーの処理時間はx30秒でした。処理時間が長すぎると駄目なのか?
数をこなしたので、NG品がたくさんでました。並べて比較すると、ある傾向が読み取れました。
・2つの穴のクセのつき方は鏡像関係にある。
【オレ説】
長時間加熱するとソケットプレート全体が膨張する。冷却すると収縮する。
熱処理後2つのソケットプレートが同じ大きさを保っていればよい動きになる(成功例)。
ソケットプレートの大きさが違っていると、互いに中心軸のずれたソケット穴同士がボールを挟むことになる。ソケット穴とボールが非接触になる部分(図の緑輪部分)が生じ、ボール&シャフトの動きにクセがつく(失敗例・図)。
部品配置は中心のねじ軸に関して対称である。だから2つのボール&シャフトのクセのつき方は鏡像のようになる。
つづく
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