加工硬化の話 その10 ― 2024年06月16日
加工硬化の話 その9 ― 2024年06月15日
3回繰り返しで18分以上。もっと短くできないか。
加熱直後に水冷すれば、3回繰り返しで3分以上。かなりの時間短縮になります。
やったらダメでした。赤熱化した状態で急冷すると、さすがに歪が出るらしい。むしろクセが増大しました。
つづく
加工硬化の話 その8 ― 2024年06月11日
何をもって短時間加熱とするか。当初に設定した(ガスバーナーによる)加熱時間は「明るい橙色になってから」30秒。しばらくそれを続けたら、たいがいは成功しました。
定量化しようとして、正確に測るようにしてからNGが出始めました。「明るい橙色」を厳格に守ろうとすると、加熱に時間がかかる。「まだまだ、明るい橙色に達しない」とがんばってしまうから。それで深部の膨張・収縮がおこったはず。アバウトにやっていた頃のほうが、却ってよかったという。
それでも熱処理のたびにバクチはできない。定量化はしなければなりません。
ところで、マルテンサイト系ステン球の熱処理の話。3時間でやっと焼きなまる球径の球を、2時間加熱しても焼きなまりません。こんなときは1時間の追加加熱をします。最初にもどって3時間の加熱をしなくて良い。つまり、ある種の熱処理の結果は蓄積されるということです。
(シーケンシャルにやらないと成立しない、例えば焼きいれでは、こうはいかない)
この考え方をステンソケットプレートの熱処理に応用します。つまり
・たとえ短時間の加熱でも、表面はいくらかでも応力除去されている(はず)。
・表面を応力除去するが、深部は膨張・収縮させない短時間加熱を何度も繰り返せば、いつかは使える応力除去が蓄積する(はず)。
図のような工程を1セットとして、数セット繰り返す。成功しなければさらに繰り返す。
仮に3セット繰り返すとすると、ソケット1枚の所用時間は18分以上です。
つづく
自在先端 その2 ― 2024年06月10日
自在先端 その1 ― 2024年06月09日
短信 ― 2024年06月08日
![謎の脚関節 謎の脚関節](https://kv9t-kwmr.asablo.jp/blog/img/2024/06/08/6c66fd.jpg)
これは一体なんであろう?
The Primevals ― 2024年06月07日
![DELIRIUM The Primevals 特集号 DELIRIUM The Primevals 特集号](https://kv9t-kwmr.asablo.jp/blog/img/2024/06/07/6c63d5.jpg)
アチラでは"The Primevals" のアマプラ配信開始。Rent が途中まで申し込めたけど、最後の最後に日本ではダメといわれてしまいました(だよね)。だったら最初からはねろよ。
クラファンのオマケか、雑誌の特集号が送られてきた。クリス・エンディコットとチャールズ・バンドのインタビューつき。
BDは9月らしい。予約しておこう。
加工硬化の話 その7 ― 2024年06月05日
ガスバーナーの短時間加熱で良い結果が出たのは何故でしょう。熱の伝わらない深層部が膨張も収縮もおこさずに、冷却後の大きさを元のままに保ったからではないでしょうか。(図参照)
ガスバーナーでも気合をいれて長時間加熱すると、クセがでてくることがあります。
つづく
加工硬化の話 その6 ― 2024年06月04日
【オレ説検証】
クセのついた二連関節(図上)に、スペーサーをいれて一連関節化しました(図中、図下)。どちらの穴をつかっても、クセはありません。応力除去はできてます。オレ説、アタリです。
なお、最初から一連関節をつくるのなら、1000度x30分も有効ということになりますね。
つづく
加工硬化の話 その5 ― 2024年06月03日
ガスバーナーによる加熱は作業としてはお手軽ですが、処理できるソケットプレートは1枚ずつです。関節1組につきソケットプレートは2枚。お手軽といいつつ、数をこなすのは面倒になってきます。もっと効率的にできないものでしょうか。
応力除去は固溶化処理温度の1050度まで上げなくてもOKとのこと。1000度以下で済むなら普通のデジタル電気炉でいけます。
電気炉で1000度x30分/1時間で処理してみました。なんとすべてがOKにはなりません。1時間処理では除去困難な焦げ付きが残るというオマケつきです。
ガスバーナーの処理時間はx30秒でした。処理時間が長すぎると駄目なのか?
数をこなしたので、NG品がたくさんでました。並べて比較すると、ある傾向が読み取れました。
・2つの穴のクセのつき方は鏡像関係にある。
【オレ説】
長時間加熱するとソケットプレート全体が膨張する。冷却すると収縮する。
熱処理後2つのソケットプレートが同じ大きさを保っていればよい動きになる(成功例)。
ソケットプレートの大きさが違っていると、互いに中心軸のずれたソケット穴同士がボールを挟むことになる。ソケット穴とボールが非接触になる部分(図の緑輪部分)が生じ、ボール&シャフトの動きにクセがつく(失敗例・図)。
部品配置は中心のねじ軸に関して対称である。だから2つのボール&シャフトのクセのつき方は鏡像のようになる。
つづく